やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2023/06/27
消費税輸出免税制度とインボイス交付義務

[相談]

 私は、中国国内の企業向けにパソコン部品の販売および輸出を行う会社を経営しています。
 当社は消費税課税事業者であり、すでにインボイス制度の登録番号を取得しています。
 そこでお聞きしたいのですが、消費税法上、上記の当社と中国企業との取引について、当社は中国企業にインボイスを交付する義務はあるのでしょうか。

[回答]

 ご相談の輸出取引については、相手方中国企業へのインボイス交付義務はありません。

[解説]

1.適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の義務

 令和5年10月1日から開始される消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)は、国内において課税資産の譲渡等(※1、※2)を行った場合において、その課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(※3)から一定の事項を記載した適格請求書(インボイス)の交付を求められたときは、原則として、その課税資産の譲渡等に係る適格請求書(インボイス)を当該他の事業者に交付しなければならないと定められています。

※1 課税資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。

※2 上記の課税資産の譲渡等からは、輸出免税等の規定(下記2.参照)や輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税の規定等により消費税が免除されるものを除きます。

※3 他の事業者からは、小規模事業者に係る納税義務の免除の規定により消費税を納める義務が免除される事業者(消費税免税事業者)を除きます。

2.消費税法上の輸出免税制度の概要

 消費税法上、事業者(消費税免税事業者を除きます)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次のような取引については、消費税を免除すると定められています(輸出免税)。ただし、この輸出免税の規定は、その課税資産の譲渡等が輸出取引等に該当するものであることにつき証明がされたものでない場合には、適用されません。

@本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け

A外国貨物の譲渡又は貸付け(本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付けに該当するもの及び一定の外国貨物の譲渡を除きます)

B国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客もしくは貨物の輸送又は通信

C専ら国内及び国内以外の地域にわたって行われる輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡もしくは貸付け又は修理で一定のもの

D@からCの資産の譲渡等に類するものとして一定のもの

 今回のご相談の場合、ご相談者が中国国内にある企業に販売した商品の中国への輸出は、上記2.@の輸出取引に該当することから、その取引についての消費税は免除されます。
 この場合、上記1.により取引の相手方へのインボイス交付義務はないこととなるため、今回のご相談の輸出取引についても、相手方中国企業へのインボイス交付義務はないこととなります。

[参考]
新消法2、7、9、57の4など


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