スマートフォンのアプリで国税を納めることはできますか?


― M社 ―
M社経理部まいと顧問税理士が、打ち合わせをしています。

そういえば、先生。PayPay(ペイペイ)で所得税が払えるって、本当ですか?

そうですね。
国税に関しても、2022年12月から、PayPayなど一定のスマホアプリを利用した納付が可能となりましたね。

たしか、住民税とかはすでにPayPayで払えていましたよね?

そうですね。
住民税は地方公共団体によって、利用の可否や利用できるスマホアプリの種類も異なりますが、確かに国税よりも早く2020年頃から利用可能になっていますね。

国税ってどんな税金でもOKなんですか?

印紙を貼り付けて納付するなど、納付書を添えて納付できないものは除きますが、大抵納付できると思っていただいて構わないかと思います。

じゃあ、贈与税もできちゃうんですね。

ご理解のとおりです。
ただし、利用上限額にご注意ください。
スマホアプリ納付は、1回あたりの上限が30万円と決まっています。これよりもスマホアプリ自体の上限額が低い場合には、その低い金額までしか利用できませんので、確認しておくとよいでしょう。

30万円となると、実際どの程度の贈与になるのですか?

そうですね。
仮に暦年課税として、ざっくり370万円程度の贈与でしたら、贈与税額は30万円をきりますね。370万円から基礎控除110万円を控除した260万円に対して、税率15%を乗じて10万円を控除すると、29万円の贈与税額となりますから。

おー、流石ですね、先生。

恐れ入ります。

ところで、このスマホアプリでの納付って、申告者本人のものしか払えないんですか?

そのようなことはありませんよ。自分以外の方の国税を納めることも可能です。この場合、利用者情報を入力する際に、氏名等を間違えないようにご留意いただければと思います。

じゃあ、割と気軽に利用できそうですね。

そうですね。
クレジットカードとは違い、決済手数料がかからないことがメリットの1つといえますし、事前の手続も不要、という点でも利便性はあるでしょう。
ただし、注意していただきたい点があります。

何ですか?

住民税は通知書が送られてきますので、手元に書類がある中で納税手続ができますから、案外忘れないんですが、国税の場合は基本的に金額が記載された納付書が送られてくるわけではないため、申告書を作成して提出したと同時に納税の手続をとらないと、忘れてしまう可能性が高まります。特に住民税をスマホアプリ納付している方は、住民税と同様に後日納付書が送られてくると勘違いしないように、ご注意いただきたいですね。

確かにそうですね。

はい。
他にもいくつか注意点はありますが、ご利用の際には国税庁のQ&Aを参考にしていただくとよいでしょう。
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