脱税に対する罰金
脱税した儲けは、税務調査できっちりと押さえられ、本来納めるべきだった税額に加え、一種の行政罰である加算税が課せられ、さらに納付遅延に対し延滞利息に相当する延滞税もしっかりと上乗せされます。
脱税に関する報道では、末尾に、納税者のコメントとして、「国税局からの指摘を真摯に受け止め、既に修正申告を行い、納付も済ませている……」とありますが、本来納めるべきだった脱税額に加え、いったいどれくらいの罰金が追加で持っていかれるのでしょうか?
脱税の悪質さで罰金の度合いが違ってくる
税務調査により追徴税額が発生したといっても、すべてが悪質な脱税というわけではなく、何も隠してはいなかったけれども所得認識の時期のずれで追徴税額が発生したというケースもあります。
本稿では、意図的に儲けを隠したいわゆる“脱税”の場合に、どんな罰金が掛かってくるのかについて考えます。また、一口に脱税といっても、実際の儲けより少ない金額で申告して誤魔化している場合(=過少申告加算税)や、全く申告せず=無申告で儲けを隠している場合(=無申告加算税)等、その悪質さの程度も変わってきます。
そして、その脱税のしかたについても、「二重帳簿の作成、売上除外、架空仕入・経費の計上、棚卸資産の一部除外等」の事実の隠蔽や、「取引の他人名義の使用、虚偽答弁等」の事実の仮装があった場合には、より悪質なものとして、さらに重い罰則(=重加算税)に代えられます。
脱税の罰金はどれくらいになるのか?
いったいいくらの追徴となるのでしょうか。話を単純にするため、本来の税金を地方税まで含めて税率30%とします。
(1) 所得を少なく申告した場合
本来の税金30%+重加算税30%×(35%+過去5年内重加算税あり10%)→43.5%
(2) 無申告の場合
本来の税金30%+重加算税30%×(40%+過去5年内重加算税あり10%)→45%
悪質な脱税では本来納めるべきであった税金の最大1.5倍にもなってしまいます。また、延滞税が年7.3%で課せられます。
さらに、給与等の源泉税が悪質な不納付の場合、35%+10%の重加算税も発生します。