増減試験研究費割合「8%」が「9.4%」に
試験研究費の税額控除制度は、よく改正が入ります。令和3年についても見直しが行われ、令和3年4月1日から開始する事業年度については、税額控除率(一般型)は次のような計算方法になります。
〈試験研究費の税額控除〉
A |
控除率の算式 |
>9.4% |
10.145%+(A−9.4%) ×0.35(上限:14%) |
≦9.4% |
10.145%−(9.4%−A) ×0.175(下限:2%) |
A:増減試験研究費割合
この算式では増減試験研究費割合が9.4%を超えると、控除率のカーブがグンと跳ね上がります。この9.4%(改正前8%)という数値は、政府の研究開発投資目標から持ってきた政策目標の数字です。
9.4%増で民間投資は90兆円(5年計)
政府は、令和3年から5年間で研究開発投資の官民合わせた累計額120兆円の確保を目指しています。民間企業は約90兆円が目標。単年度では14.2兆円(平成30年度)ですので、5年間、9.4%増加すれば、約90兆円が確保できることとなります。
大手の今年のR&Dは約8%増で計画
試験研究費の税額控除は、研究開発費が大きな大企業の適用額が大きいのが特徴です(平成30年の措置法適用実績 旧総額型 5,751億円・中小企業型357億円)。毎年、日刊工業新聞社が実施している「研究開発(R&D)アンケート」の2021年版ではR&D(計画)の上位3社は次のとおりです。
会社名 |
研究開発費 |
売上高比率 |
前期比増減率 |
トヨタ自 |
1.16兆 |
3.9% |
6.4% |
ホンダ |
0.84兆 |
5.5% |
7.7% |
ソニーG |
0.61兆 |
6.3% |
16.1% |
解答した163社全体では、前年度実績比8.4%増となり、12年連続の増加です。
製薬会社のR&Dはダントツの高水準
また、新薬開発競争が激しい製薬会社のR&D(計画)は、次のとおりとなります。
会社名 |
研究開発費 |
売上高比率 |
前期比増減率 |
武田薬品 |
0.52兆 |
15.5% |
23.7% |
第一三共 |
0.27兆 |
26.9% |
17.0% |
アステラス |
0.24兆 |
18.3% |
7.8% |
売上の2割が研究開発費の製薬業界。新薬開発の成否が会社の命運を握っています。