税制改正に会計検査院の指摘対応
令和4年度の税制改正にて、住宅ローン控除の大幅な見直しが行われましたが、発表等を見ると「会計検査院の指摘への対応」という文言があります。
低金利の下、実際の住宅ローン控除の借入金利が令和3年までの住宅ローン控除の控除率である1%を下回っている、と指摘をしたのは会計検査院です。
普段聞きなれないこの「会計検査院」はどんな組織なのでしょうか。
会計検査院の仕事
会計検査院の仕事は簡単にいうと「国やその周りの組織の経理・財務を監督する」ことです。また、国の決算を確認するという職責も負っています。
会計検査院という組織は明治22年(1889年)、大日本帝国憲法が発布されるとともに、憲法に定められた機関になり、財政監督を行ったのがはじまりです。
その後の日本国憲法にも第90条にて規定がされています。
ちなみに憲法に「会計検査院」という名称が明示されているため、名称を変えるには憲法改正が必要となります。
簡単に経理や財務の監督といいましたが、その内容は多岐にわたります。
例えばODA(政府開発援助)の検査や、医療費・年金の検査、消費税の検査や入札・契約手続きの検査等です。
各項目について徴収不足や不正・誤りがないか、法令や制度に改善点はないか等をチェックし、不適切なものを発見したときには、指摘のみにとどまらず、是正や改善を要求する権限があります。
近年ではコロナ関係の検査も
近年では国の財政に大きくかかわる新型コロナウイルス感染症への対策費や感染症対策等による財務への影響についてなどもレポートしており、一部報道などで話題に上がった陽性者接触確認アプリ「COCOA」の不具合対応について、厚生労働省に対して是正改善の処置を求める内容を公開しています。
国会や裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、様々な内容をチェックする会計検査院。「国の税務調査を行う税務署」みたいな印象を持ちますね。