マンション評価の新しい方式
相続等で取得したマンション一室の現行相続税評価額は、「建物の固定資産税評価額 + 路線価 × 敷地面積 × 共有持分」です。
これに対する、マンション財産評価の令和6年からの見直しが、パブリックコメントを経て、確実になりました。
見直しの内容は次の見慣れない算式の採用により実施されることになります。
現行相続税評価額 × 当該マンション一室の評価乖離率 × 最低評価水準 0.6(定数)
この算式の「相続税評価額 × 評価乖離率」の部分は、重回帰式市場価格と説明されており、市場での売買実例価格等を蒐集することなく、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる市場売買価額として理論的に算出される価額です。
評価乖離率の求め方
この「評価乖離率」は、「A+B+C+D+3.220」の算式で計算したものとされ、ABCDは次の各算式により計算されます。
A=当該マンションの築年数×△0.033(年未満端数切上)
B=当該マンションの総階数指数×0.239(小数点以下第4位切捨、1超は1)
C=当該マンションの一室の所在階×0.018
D=当該マンションの一室の敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位切上)
統計値を利用した各算式の固定値
算式の中のいくつもの固定の数字は、統計的な調査結果を踏まえて決められたもので、これらは何年後かには変わる可能性があります。
算式を見ていても、なかなか意味が呑み込めないかもしれませんが、具体的な事例で数字を当てはめてみると、算式の持つ意味の理解が進むかと思われます。
重回帰式市場価格の特徴
公示価格や相続税評価額と並ぶ不動産の時価の一つとして、重回帰式市場価格という新たな時価概念が創出されたと言えます。
特徴的なことは、市場での売買実例を収集することなく市場価格を算式だけで求めていることです。
また、土地と建物を別個に評価する従来型から少し脱皮し、土地建物一体での評価であることです。
なお、相続税評価額は、重回帰式市場価格の6割にする、ということです。